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退職手当共済事業

平成27年度 退職手当共済事業の実施状況について

共済部退職共済課

 

独立行政法人福祉医療機構(以下、「機構」といいます。)が実施している社会福祉施設職員等退職手当共済制度(以下、「共済制度」といいます。)は、社会福祉施設や社会福祉事業に従事する人材を確保し、福祉サービスの安定的な供給と質の向上を図ることにより、社会福祉事業の振興に寄与することを目的として、昭和36年10月より開始し、50年を超えました。
今回のレポートでは、当共済制度における平成27年度の加入及び退職の状況を報告いたします。

共済制度とは?

この共済制度は、全国的規模による社会福祉施設等の経営者の相互扶助に基づく共済方式で、小規模の経営者でも安定した退職金を支給できる仕組みとして、昭和36年10月から事業を開始しており、50年以上にわたり、延べ162万人の職員に退職金を支給してきました。また、この制度は職員の方からの掛金の負担はなく、経営者のみの負担となっています。
共済制度の詳細については、機構ホームページ または共済部退職共済課(℡03-3438-0222)までお問い合わせください。

平成27年4月1日現在の共済制度加入状況

この共済制度においては、毎年4月1日現在共済制度に加入している(させる)職員の状況を、「掛金納付対象職員届」という書類で報告していただいており、以下のデータはこの届出を基に集計したものです。
平成27年4月1日現在の共済制度加入状況は表1のとおりです。

表1退職手当共済の加入状況

退職手当共済の契約者は16,858法人で、前年度と比較して、86法人増加しており、福祉施設を運営する社会福祉法人のうち約90%の法人に加入していただいています。
次に、共済制度に加入している職員(以下、「加入職員」といいます。)は807,458人となり、前年度と比較して23,612人、率にすると3.0%の増となっています。加入職員の対前年度増加率は、平成24年度2.7%、平成25年度3.2%、平成26年度2.7%と上昇し続けており、平成27年度も3.0%と、引き続き増加していることとなります。
加入職員の平均加入期間は7年9カ月となり、年々伸びる傾向にあります。加入職員の男女の構成割合は女性が74.2%を占めていますが、わずかながら、男性職員の割合が年々増加しています。
加入職員の平均本俸月額(以下、「本俸月額」といいます。なお、本俸月額には管理職手当、調整手当及び資格手当は含まれていません。)は210,997円となり、平成26年度と比較すると525円上がっています。これを10ランクの本俸階層別の比率を表したものが図1になります。階級の分類にも左右されますが、最頻値(最も多い値)は「16万~17.5万円未満」と、平均本俸月額である210,997円を下回り、おおむね20.5万未満の比率が約60%を占めています。

図1本俸階級別本俸月額(平成27年度)

退職者・退職手当金支給者の状況

退職者の状況はどうでしょうか。平成26年度においては、88,664人が退職し、退職率は11.3%でした。平成25年度と比較すると退職者数は2,187人増加しましたが、退職率は、ほぼ横ばいとなりました。
退職手当金の平均支給額は1,319,131円となり、平成25年度を2,594円程度下回りました。平成23年度の平均支給額が初めて130万円台を超えたものの、いったんは下回り、再び平成25年度以降130万円を超える平均支給額となりました。

福祉施設従事者の加入、退職の状況

少子高齢化により人口構造の変化や社会環境の変化は大きく、それに伴い福祉ニーズは増大、多様化を見せています。労働人口も減少局面を迎えることも含め、これらの問題に対応すべき福祉人材の確保が喫緊の課題として取り上げられています。
ここでは、このような状況において、福祉施設従事者の加入(※1)及び退職の状況がどのようになっているのか、当共済制度の加入及び退職の状況からみていきたいと思います。
表2では、平成26年度中における被共済職員数、新規加入職員数および退職者数を、制度全体(以下、「全体」といいます。)と、代表的な職種である保育士、介護職員(※2)および指導員の3職種の状況を表しています。全体において新規加入職員数が111,295人に対し、退職者数88,664人となり、新規加入職員が増加していることがわかります。保育士、介護職員および指導員についてもそれぞれ増加となっています。いずれにおいても福祉ニーズが高いことに起因するものと考えられます。

表2職種別被共済職員数

図2は、新規加入職員数と退職者を比較したものです。新規加入職員数を100とした際の退職者の割合を3ヵ年示しました。全体においては、新規加入職員数を100とした際の退職者数は80となり、おおむね傾向は変わりません。これに比べ、保育士と指導員についても傾向こそ変わりませんが、全体と比べると新規加入職員数を100とした際の退職者数は80を下回っていることがわかります。とくに指導員においては大きく下回っており、他の職種と比べても増加傾向が高いことがわかります。

図2全体、保育士、介護職員、指導員の新規加入者数と退職者数の比較

図3は、全産業(※3)および全体、3職種の加入率と退職率(※4)を表したものです。全体の加入率は14.2%、退職率は11.3%となりました。全産業と比較すると加入率、退職率ともに低くなっていますが、全産業には短時間労働者が含まれていますので比較する際には注意が必要です。全体と介護職員はおおむね同様の傾向が見られます。指導員についても、加入率はおおむね同様ですが、退職率は低くなっています。一方、保育士の加入率は16.3%、退職率は12.2%となり、いずれも全体を上回っていることがわかります。

図3加入率および退職率

表1図2から加入職員が増加していることがわかりますが、それでも福祉施設従事者は不足しているといわれています。少子高齢化が進行し、労働者人口が減少局面を迎える中で、どのような人材を確保しているのでしょうか。図4は、新規加入職員の年齢階層別割合(年齢階層別新規加入職員÷新規加入職員)を表したものです。これについても全産業と比較していきます。

図4年齢階層別新規加入職員割合

全体の加入状況は、全産業とおおむね傾向は変わらないといえますが、「~24歳」「45歳~49歳」「50歳~54歳」がやや高くなっています。介護職員や指導員の加入状況は、全体と比べると「~24歳」までがやや低く、「45歳~49歳」「50歳~54歳」がやや高くなっています。
特徴的なのは保育士の加入状況です。保育士においては、「~24歳」が50%弱となり、「25~29歳」までを含めると60%を超え、全体および他の職種とはまったく異なる傾向が見られます。この数値は新規加入職員に占めるそれぞれの年齢階層別新規加入職員の割合ですから、単純には若い年齢階層の新規加入が多いといえますが、一方では、「~24歳」「25歳~29歳」以外の新規加入が少ないともいえます。
保育士、介護職員、指導員と比較したとき、保育士が他の職種と異なる傾向を示していることは、保育士が新卒の採用が中心となることなどが考えられますが、「~24歳」「25~29歳」以外の採用が少ないとすれば、保育士確保の問題でも取り上げられている「潜在保育士」が多く存在することを表しているといえます。
一方で退職の状況はどうなっているのでしょうか。退職者数は増加傾向にありますが、退職率はほぼ横ばいとなったことは前述のとおりです。

図5は退職者の年齢階層別割合(年齢階層別退職者数÷退職者数)を表したものです。全体と全産業を比較すると、全体の方が「~24歳」までの割合は低くなっていますが、「25~29歳」までをあわせた割合でみるとあまり変わりがありません。以下、おおむね同様の傾向といえます。

図5年齢階層別退職者割合

職種別にみた際、特徴的な傾向となっているのが保育士です。保育士においては、退職者のうち、「~24歳」「25歳~29歳」が50%と超となっており、他の職種と明らかに異なります。
表3は年齢階層別退職率(年齢階層別退職者数÷年齢階層別加入者数)を表しました。

表3年齢階層別退職率

全体および3職種において、「60歳~64歳」「65歳」の退職率が高い傾向となり、その次に高い傾向を示すのが「25歳~29歳」となっています。ここでは全産業のものは示していませんが、全産業の離職率(退職率)においても、若い年齢層が高く、以下低減し、再び60歳以降で高くなる傾向がみられますので、福祉施設における状況が特殊ではないと思われます。では、職種別に比較するとどうなるでしょうか。保育士における「25~29歳」は、他の職種の同じ階層に比べ、退職率が高いことがわかります。図5表3を併せてみると、やはり保育士における「25歳~29歳」は退職動向において特徴があるといえるでしょう。

新規加入および退職の状況を踏まえ、加入職員数を見てみましょう。図6は、全体及び3職種の年齢階層別加入職員数を表しています。

図6年齢階層別加入職員数

全体では「~24歳」「25~29歳」「30~34歳」「35~39歳」までおおむね等分に50%超を占めています。以下、年齢階層が上がるにつれ構成割合は低くなります。年齢構成としては適度なバランスといえるのではないでしょうか。介護職員、指導員についても、おおむね同じような年齢構成となっています。
加入や退職に異なる傾向を見せた保育士はどうなっているのでしょうか。保育士は「~24歳」「25~29歳」までが40%超となり、やはり全体や他の職種と異なる傾向が見られます。
図7の在籍年数別の加入者割合をみると、保育士では在籍期間(共済制度に加入している期間)が「1年未満」「1年」「2~4年」が50%超となっています。全体や他の職種と比較しても、在籍期間が「1年未満」「1年」「2~4年」職員が多い傾向にあるといえます。二人に一人程度が比較的短いキャリアとなっていることがわかります。

図7職種別在籍年数割合

おわりに

社会福祉に対する需要は社会の変化により増大・多様化が見込まれます。社会福祉に対する需要が、利用する人がその人らしく生きていくうえで必要なものであるとすれば、その需要に対応するためには、その方それぞれのアプローチがあり、どれだけ機械が進化しても無機質な対応では解決できず、高い専門性をもった福祉専門職の存在が必要だと考えます。高い専門性を得るためには、キャリアも必要となることから、職員の定着は重要な課題といえます。福祉の仕事は大変ですが、同時に達成感もあるとされています。そういった同志が集まる、そのような職場が形成されれば、人材が定着し、定着するなかで専門性も高くなっていくのではないでしょうか。
いままでお示ししたデータは、当共済制度の平均値から見えることであり、それぞれの職種によって条件や傾向が異なり、また、それぞれの事業所によっても状況は異なるものと考えられます。平均値と状況が異なるからといって問題であるわけではありません。これらのデータを参考に貴施設に従事する方の状況と比較することで、人材定着にご活用いただければ幸いです。
福祉医療機構ホームページの退職手当共済事業ページにおいては、事業のあらましや制度の実施状況を掲載していますので、あわせてご参照ください。
また、退職手当金請求手続きがわかる研修資料など、共済契約者の方だけでなく、職員の方にも役立つ資料が掲載されています。ぜひご活用ください。

 

 

※1 当共済制度においては、加入要件を満たす場合、非正規職員またはパート等職員であっても加入させなければなりません。今回お示ししたデータにおいても、正規職員だけでなく、非正規職員のデータも含まれております。 
※2 介護保険制度の対象となる高齢者関係の施設・事業については、平成18年4月1日より、公費助成が廃止されました。平成18年4月1日以降新設する高齢者関係の施設・事業については、加入が「任意」となっておりますので、ご留意ください。
※3 全産業は厚生労働省「雇用動向調査」を参照しました。全産業とは日本標準産業分類に基づくすべての産業が含まれています。なお、全産業のデータには当共済制度における加入要件を満たさない者が含まれています。
雇用動向調査の詳細については、厚生労働省ホームページをご参照ください。
※4
機構データにおける加入率の算出式は、(平成26年度新規加入職員)÷(平成26年度4月1日在籍職員)となります。
機構データにおける退職率の算出式は、(平成26年度退職者)÷(平成26年度4月1日在籍職員)となります。
全産業における加入率は雇用動向調査における入職率であり、算出式は、(平成26年中の入職者)÷(平成26年1月1日在籍職員)となります。
全産業における退職率は雇用動向調査における離職率であり、算出式は、(平成26年中の離職者)÷(平成26年1月1日在籍職員)となります。
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